現任者研修
研修名 知的講座(平成26年7月)
開催日 平成26年7月3日(木)
開催場所 堺市福祉会館5階
研修概要 コスモス研究所で実践アドバイザー、発達相談員として従事されている 中村 清隆様をお迎えして開催されました。
研修資料
(PDF形式ファイル)
アンケート等 Q:拒否的発言をされた時の具体的な声かけの方法をもっと知りたい

 A:くりかえしになりますが、研修会では2人の方の場合を最初に紹介させていただきました。2人とも、新しい場面に切り替えていくのが苦手です。
 1人目のAさんの場合は、なかなか出かけようとしないAさんに、ガイドヘルパーを担当する支援者が、「行かないの?」と呼びかけると、「行かない」と反応しました。
 Aさんは、相手からのかかわりを受けとめようと関心を持ち始めていますが、まだ話しことばでのやりとりが困難です。支援者の「イカナイノ」の声かけを受けとめて、本人も「イカナイ」と反復してくれたのではないかと考えられました。
 そばにいた別の支援者が、「行きましょう」と呼びかけると、相手への関心や信頼をもとに、自ら場面を切り替えて出かけることに応じてくれたという事例として紹介させていただきました。
 さらに言えば、「行かないの?」のことばがけには、「行くの? 行かないの?」と音声では隠れたことばがあります。話しことば獲得期にある人たち、あるいは相手とのコミュニケーションの形成過程にある人には、受けとめきれない表現になります。

 2人目のBさんは、話しことばは少なく限られていますが、身振りや独特のサインも使って、相手に自分の要求を表現してくれる方です。
 「お土産を買ったので、バスに乗って帰りましょう」と、Bさんの要求に応じた声かけで、Bさんは納得して自ら場面を切り替えています。しかし、家に近づいた時に突然不機嫌になることがある。そのことは、「バスに乗って帰りましょう」で、その時点から後のことはすべて納得できたというわけではなく、外から家に帰るという場面の切り替えに時として納得できない時があります。この場合、「もうすぐ家ですね。帰ったらお母さんにお土産を渡しましょう」など、Bさんが自ら見通しを持って切り替えていけることばがけがあっても良かったのではないでしょうか。

 支援者にとって拒否的発言と受け止められる対象者のことばには、対象者の内面にある切実な要求と、対象者の話しことばの成立状況などが反映されているといえます。

 話しことばが豊かである場合でも、以下のような事例もあります。
 Cさんは、話しことばは豊かで、自分の思いや周りの人への気遣いを話してくれます。内面には、人への気遣いができるそのような自分を、先ず受けとめてほしいという要求を強く持っている方です。しかし、他者から自分のことを言われたり、決められたりすると元も子もありません。すべて拒否の発言になります。先ず自分の言うことを受けとめてほしいのです。
 Dさんは、話しことばとともに書きことばでも一定の表現はできます。これからどうすべきだなど、提案もたくさんします。しかし、さてDさんの提案のようにしましょうと言っても、Dさんは拒否してしまいます。
 Dさんは学齢期に長く不登校になり、自己評価が非常に低くなっている方です。自分への自信がない中で、なかなか新しい場面に立ち向かうことができません。その場その場で“褒める”だけの声かけでDさんは新しい場面に向かえるわけではありません。支援者は、Dさんが自分の値打ちを見つけられるような配慮がいります。

 以上のような場合も含めて、対象者の方の要求を理解することが基本で、そこに好ましいことばがけが成り立ちます。その際、支援者が困ったときに一人で悩むのでなく、同僚や指導担当の支援者と意見交流することで手がかりが見つけられことも多いと思います。良い手がかりを見つけてください。


Q:自傷・他傷行為があった場合、どのように対応したらいいか?

 A:自傷・他傷行為があるのは、当事者である対象者が内面に何らかの不快感を強く持っていて、それから回避したいという思いの表れと見ることができます。他傷行為の場合は、向かう相手その人が不快であるとはいえないこともあります。自傷行為は、他者に向かうことができなくて、不快を自分の身体を傷つけるしかすべがない状態といえます。その不快は、いまあったこととは限らず、時間的には前に遭遇した不快なこと(中には数日前のようなことも)が原因になり、フラッシュバックして起こることもあります。
 まわりの変化にとくに過敏な自閉性障害を持つ方や、話しことばでの交流が成立しにくい方の場合によく見られます。
 まず、自傷・他傷行為が発生した時、対象者やその相手になる人の安全を確保することが基本です。そのうえで、対象者が不快から立ち直れるような支援が必要になります。その方法は、対象者によってそれぞれで、手を握ってあげるなど一定の身体接触が効果のある場合や、その場面が心配ないよなど話しかけることが効果のある場合や、別の部屋など違った空間に移動させてあげることで効果のある場合など、その人が不快から立ち直れるように配慮する必要があります。
 自傷・他傷行為のある方の支援にあたる場合、家族や他の支援機関(障害者作業所、学校、デイサービスなど)の担当職員などから手がかりを得ておくことが大切です。対象者がどんなことに不快を感じられるのか、自傷・他傷行為が起こると予測されたときどんな対応をするか手がかりは得られると思います。
 できる限り、対象者にかかわる家族や支援者が交流できる機会を作って、自傷・他傷行為への対応にとどまらず、むしろ対象者が快適に楽しく過ごせる生活のあり方を見出し共有していくようにしてください。
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